前日の悪夢から まだ立ち直れないままの私が 寄り道した<ある場所>
生家あとに建てられているのもまた 感慨が深まる一因でしょうか・・・ よかったら 私と一緒に 中原中也の世界にどうぞ・・・♪ モダンな建物ですが 温かくてなつかしい気がするのは 当時 植えられていた木がそのまま使われているからみたいです。 生家は火事で焼けてしまったのだそうです。 ↑後方に見える屋根(ちょっと見難いですが) 焼け残った家の一部に 今もご親戚の方が住まれています。 10月22日 中也の命日には ここの職員とご親戚が 毎年欠かさずお墓参りに行かれるのだそう。 ガラスに白い文字で浮き上がる中也のおなじみの詩の一部 玄関までのアプローチだけでも 十分楽しめる建物の造りです。 受付脇に こんなものが・・・ 中也がかぶっていた帽子の複製です(19000円で注文できるのだそうです) ウサギの毛で作られた帽子は エクセーヌよりやわらかくしなやかな手触りで 当時かなり高級品だったそうです。 そして、山高帽を、このように↓折り込んで(?)使うのが 当時の若者の流行だったんですって。 案外 中也はお洒落さんだったのかも知れませんね(笑) 生誕100年の企画が行なわれた2007年 30歳でこの世を去った中也の残した詩の中から 中也ファンが選んだベスト10が こちらです。 1.サーカス 2.汚れつちまった悲しみに・・・ 3.一つのメルヘン 4.月夜の浜辺 5.帰郷 6.骨 7.生い立ちの歌 8.春日狂想 9.冬の長門峡 春の日の夕暮れ いかがでしょうか? 私は 中也の詩の持つ リズム感と漂う空気感が好きです。 この中では、 月夜の浜辺 一つのメルヘン 汚れつちまった悲しみに・・・ かな。 階段の踊り場に <中也に吹いた風 仰ぎ見た月をこの同じ場所の片隅で 感じてください> というような 言葉が書いてありました。 月を仰ぎ見ることはできませんでしたが、昨日とはうって変わった青空のこの日 心地よく吹く春風に 中也の詩の心を垣間見た気がしましたの。 そして、昨日の悪夢が、疲れが、眠気が、 すーっと遠のいていくのを感じました(なぁんて単純な私~!笑) こんな本を買ってきました。 遺言の中に 詩がうまくなりたいなら「19世紀後半のフランス詩をたくさん読みなさい」 という箇所があって この本の中には 中也のその言葉の意味が散らばっている気がしたからです。 今回 長時間お留守番中の のえたんが気になって ゆっくりはできませんでしたが いつかまた訪れたい<お気に入りの場所>になりました。 帰宅したら のえたんは、フードはもちろん、水も おしっこも なぜか全て我慢して 30時間じっと待っててくれました(驚) 私は 中也記念館での休憩以外 1度も休むことなく車の運転をしていた疲れも忘れ 涙したのでした。。。 月夜の浜辺 月夜の晩に、ボタンが一つ 波打ち際に、落ちていた。 それを拾って、役立てようと 僕は思ったわけでもないが なぜだかそれを捨てるに忍びず 僕はそれを、袂(たもと)に入れた。 月夜の晩に、ボタンが一つ 波打ち際に、落ちていた。 それを拾って、役立てようと 僕は思ったわけでもないが 月に向かってそれは抛(ほう)れず 浪に向かってそれは抛れず 僕はそれを、袂に入れた。 月夜の晩に、拾ったボタンは 指先に沁(し)み、心に沁みた。 月夜の晩に、拾ったボタンは どうしてそれが、捨てられようか?
by kokorono-yutori
| 2009-03-06 10:24
| お気に入りの場所
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